皮膚科について
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私たちの身体は、皮膚によって外の世界と分けられています。それは、外の世界の様々な刺激(暑さ寒さ、衝撃、微生物、虫などの外敵など)から身体を守る役割があるということです。
ですから、皮膚は様々な刺激を受け、様々な反応を起こします。赤くなったり、黒くなったり、腫れたり、かゆみや、痛み、熱さ、冷たさなどを感じることも、重要な役割となります。それによって、身体を守るため、どんな行動をとるかを決めることになるからです。内臓の不調や心の問題が皮膚に出てくることだってあるのです。
多種多様な反応を示す皮膚の診療の世界はなかなかに広く奥深いものがあり、その内容も日進月歩でアップデートされていきます。
皮膚が示した反応はいったい何が原因なのか、目の前の皮膚病の動物たちと、アップデートされていく情報とを統合して、診察する日々です。
そして、皮膚科診療で何より重要なのは、(これはどんな病気でも同じですね)動物たちの皮膚病を治療するために、飼い主さまと獣医師が協力して、皮膚病に悩む動物たちの治療に臨むことです。
もちろん、必要な情報や治療方法は提供しますが、そのご家庭にあった、その子にあった治療方法の選択は、飼い主さまとの連携が何より重要になってきます。ですから、どんな些細なことでも、ご相談ください。実はそんなところに、治療がうまくいくヒントが隠れていたりすることもあるのです。
皮膚のかゆみ
動物たちは、当然、「ここがかゆい〜!」とはしゃべりませんから、
“かゆそうだな”という行動を飼い主さまが発見して、病院まで連れてきてくださいます。
その、“かゆそうだな”と思わせる行動は色々ありますよね。
そして、かゆみの原因を推察するのに重要なのが下記の二つです。
いつ(散歩中、食事中、寝ている時、興奮時、特定のできごと、またそれらの前後、季節など)
どこ(手足、口まわり、わき、お尻まわり、おなか、背中、耳、目など)
病院では緊張しているので、普段どおりには行動してくれませんので、飼い主さまたちからのお話がとても重要です。
ですから、その動物のことを一番よく見ている方からお話をお聞きするのが理想です。
また、隠れてかいていたり、特定の人の前でだけかいていたりする場合もありますので、
家族の方にも、いつ、どこがかゆいのか、情報を集めてきてくださると、とても助かります。
毛が抜ける、薄い(脱毛)
毛が抜ける、、というのは、全身が毛で覆われているからこそ、皮膚の変化として目に見えて分かりやすい現象です。
皮膚のかゆみとともに起こる脱毛もありますが、かゆみはないけど、脱毛が起こることもあります。
いつごろから
どこ
の毛が抜ける、または薄いのかが重要です。
老化による薄毛ももちろんありますが、ホルモンバランスのくずれ、精神疾患など、病気が隠れている脱毛もありますから、
「老化かな??」と思っても診察を受けることをおすすめします。
アトピー(犬アトピー性皮膚炎)とアレルギー
アトピーとアレルギー、言葉が一人歩きしている印象のあるふたつの病気。
症状が似ている、同時に発症していることがある、というのが原因ではないかと思います。
アトピーとは
簡単に言えば、”敏感肌”です。
敏感な皮膚を持っているので、普通の子にとってはどうってことのない少しの刺激でかゆみが起こってしまうのです。
この、”少しの刺激”というのを、具体的にあげてみます。
・動くことで起こる、指と指のこすれ→指間のかゆみ
・まばたき→目のまわりのかゆみ
・食べたり飲んだりの動き→口まわりのかゆみ
そうです、普通に生活している動きによる皮膚刺激でさえも、アトピー体質の子にとっては、かゆみにつながる刺激になってしまうことがあるのです。かゆみ、つまり、皮膚の炎症(皮膚炎)が起こってしまうのです。
炎症を起こした皮膚に細菌がつくと、かゆみは10倍にもなると言われています。また、花粉、ハウスダスト、食べ物がつくことにより、それらがアレルゲンとなり、アレルギーを発症しやすくなることも分かってきています。つまり、アトピーはかゆみを起こしやすい体質を持っている、ということなのです。
そして、特にハウスダストに反応しやすい体質であることも分かっています。ですから、かゆみが起こりやすい体質を持っているので、その体質とうまく付き合っていく方法を探っていくことになります。近年、新薬や新治療も続々と出てきていますので、希望を持って治療していきましょう。
アレルギーとは
さて、アレルギーについても、解説していきたいと思います。先ほど、アトピーの説明の中に、“アレルゲン” “アレルギーの発症”という言葉を使ってしまいましたが。まず、体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきた時に、これらを外敵とみなし、やっつけようとする「免疫」という仕組みがそなわっています。
ところが、この免疫のしくみが、食べ物や花粉など私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害な物質だ!」と過剰に反応して、攻撃をし過ぎる結果、逆にマイナスの症状を引き起こしてしまうのが「アレルギー」です。
本来は体を守るはずの反応が、自分自身を傷つけてしまうのがアレルギー反応ということになります。そして、アレルギーの引き金になるものをアレルゲンと呼びます。
では、なぜアレルギーになってしまうのか。
・弱った皮膚へのアレルゲンの接触
・アレルギーを起こしやすい体質を持っている
など、この他にも様々な情報がありますが、なかなか特定することは難しいですし、様々な対策をしていても発症してしまうこともあります。